シングルダイオードレーザとマルチエミッタレーザモジュールの自動実装
ファインテックはどのようにして、高出力ファイバレーザの製造メーカーにおける、自社開発の高出力ダイオードポンプ用の高精度組立プロセスの実装や、そのプロトタイピングから自動連続生産への移管をサポートしたのでしょうか。
Convergent Photonics社は、材料加工用途向けの高出力産業用ファイバーレーザーソリューションを開発および販売している企業です。 ファインテックは、Convergent Photonics社の強力なマルチエミッタモジュールの開発を、開発当初からサポートしており、自動ダイボンダシステムを使用してアセンブリプロセスを量産化するのに貢献しました。
レーザー切断機用マルチエミッタレーザーモジュール
Convergent Photonicsとファインテックの協力関係は2015年に始まりました。ファインテックは、パワーレーザーモジュールの自社開発用にR&D用ボンダーであるFINEPLACER®lambdaを提供しました。 このシステムは、初期のレーザーアセンブリのすべての実装と、マルチエミッタレーザモジュールの試作に使用されました。
- 端面発光レーザダイオードはサブマウント(ヒートシンク)上に配置され、発光ファセットはサブマウントの端部にマイクロメートルの精度で位置合わせされます。
- ファインテックによって開発された、レーザーダイオード用のセルフアライメント方式のプレイスメントツールは、ヒートシンクと部品を正確に平行に整列させるために使用されます。工具の自由度はサブマウントの形状公差の補正を可能にします。
- 最適なパワー出力と安定性のために、レーザーはヒートシンクの端から数マイクロメートルの範囲の規定されたオーバーハング量で配置され、その精度要件は±1 µmです。
- レーザーダイオードは、共晶金-錫はんだプロセスによって接合され、レーザーとヒートシンク間に均一な接合線が確保される必要があります。
- モジュールハウジング内における複数のCoC(チップオンキャリア)の組み立てプロセスでは、はんだ付けプリフォームが、”多軸補正ツール”を使用してモジュール内に配置、接合されます。 エッジからのCoCの角度ずれは特に重要ですが、ここでもプレイスメントツールがモジュールハウジングの形状公差を補償します。ファインテックとConvergent Photonicsが共同開発した特別なはんだ付けプロセスは、局所的なエネルギー供給によって自動プロセスシーケンスのなかで実行され、はんだリフローを極めて迅速に実現します。
- 最後に、組み立てられたヒートシンク(CoC)が最高精度でモジュールハウジングに取り付けらます。 個々のレーザビームが光学的に束ねられ、規定された総出力を持つマルチエミッタレーザーモジュールが生み出されます。
開発から量産へ
アプリケーションの実装に加えて、課題はマルチエミッタレーザモジュールの生産を連続生産に移すことでした。この目的のために、Convergent PhotonicsはFINEPLACER®femto2を選択しました。 これにより、FINEPLACER®lambdaの開発段階で達成したプロセスの再現性と精度のレベルを維持すると同時に、連続生産に必要な自動処理とプロセスステップを統合することができました。すでに開発済みのプロセスは、マニュアルタイプの開発システムから、自動ボンディングプラットフォームへと移行されました。
製造工程は、ファインテックの新製品FineXT 5205生産プラットフォームの助けを借り、さらに効率的になりました。これで、すべての作業ステップが、可能な限り最良の方法でマシン毎に分割されました。開発作業は継続してFINEPLACER®lambdaで行われ、サブマウントへのレーザー部品の自動組み立てはFINEPLACER®femto2で行われています。FineXT 5205は、自動アセンブリ工程ですべてのCoCをレーザーモジュールハウジングに組み立てます。個々のCoCはエッジに正確に位置決めされ、はんだ付けされます。加えてFineXT 5205は、接着剤の塗布、キャリアシートの配置、接着剤の硬化などを含むキャリアシートの組み立てや、キャリアシートの組み立てなど、他の自動プロセスにも使用されています。
その結果、現在では開発と製造工程の大部分がファインテックによって供給されたダイボンダーで行われています。
「私は2014年の終わりにConvergent Photonicsに入社し、ハイパワー半導体レーザーダイオードアセンブリ技術を管理するという使命を持っていました。この間、Finetechとの強力な技術提携を発展させることができました。 ファインテックは、高出力ダイオードレーザーアセンブリの要求されるプロセスと精度の仕様を満たすための最適なパートナーです。」
Simone Codato
DIE FAB Manager, Convergent Photonics
成功のための協業
Convergent Photonicsとの協業は非常に建設的であると言えますが、高度な技術レベルのために非常に困難なことでもあります。
広範な分析と評価の助けを借り、最先端のマルチエミッタのための新たなアセンブリ・ボンディング技術が開発されました。密接な協力のなかで、対象となった装置とツールの最適化を実行することより、プロセスステップとはんだ付け成果は、絶えず最適化されました。これには、非常に高い接着後の精度を有し、非常に短い温度サイクルを可能にした、パワフルな低ドリフト加熱プレートや、適切なプレイスメントツールの使用も含まれます。製造段階の自動化により、ハンドリング時間とプロセス処理時間が大幅に削減されました。
Convergent Photonicsとファインテックは共同で、複雑なアセンブリアプリケーションの安定した量産への移行を成功させ、パワーレーザー分野におけるさらなる製品開発のためのインフラを構築したのです。